民泊物件の売却、かかる費用や税金は?売却時の注意点も

民泊経営は周辺の宿泊施設等の状況やインバウンドに左右されやすく、綿密に事業計画を立てても必ずしも上手くいくとは限りません。

経営が上手くいかない時や、マイホームの一部を民泊物件にしていたが引っ越す等のケースでは物件の売却を検討される方も少なくないでしょう。民泊物件の売却費用や税金は一体どのくらいかかるのでしょうか?

この記事では、民泊物件の売却数が増加している現状と売却前の確認ポイント、売却にかかる諸費用と税金についてお伝えしていきます。

1.民泊物件の売却数が増加

新型コロナウイルス感染症の拡大により東京オリンピック・パラリンピックが延期になった影響が民泊業界にも出ています。

2018年に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)施行により事業の届出数が右肩上がりだった民泊ですが、新型コロナウイルスの影響で物件の売却・廃業を免れない民泊事業者も存在します。

民泊は法律上「居住用不動産(マイホーム)」ではなく、「非居住用不動産」に属するため税制上の違いがありますが、基本的な売買の手順においては一般の物件と大きな違いは見られません。

続いては、売却前におさえておきたいポイントについて見ていきましょう。

1-1.売却前に確認しておきたいポイント

民泊物件を売りに出す前に、以下のポイントを確認してみましょう。

  • 築年数や家の造り、最寄駅からの距離等、物件の条件
  • 物件の収益性
  • 管理費・光熱費が月にいくらかかっているか
  • 家具・家電・風呂や給湯器等設備の修理歴があるか
  • 管理規約の有無・転貸の許可を取っているか
  • 災害リスク(近くに河川がある場合や、台風・地震が多く来る地域は高リスク)

上記の項目は不動産会社に仲介で売却を依頼する際に聞かれる事が多いため、事前に確認・調査しておきましょう。

民泊物件を売却する際はアクセスの良さと収益性が重要です。外国人や観光客の利用者が多いため、近くに観光スポットがある物件は付加価値が付くでしょう。

2.民泊物件の売却にかかる諸費用

民泊物件の売却にかかる諸費用の種類や金額は以下の通りです。

不動産会社へ支払う仲介手数料
※宅地建物取引業法で定められた上限額 
取引額200万円以下の金額
取引額200万円超400万円以下の金額
取引額400万円超の金額
測量費用 公募売買(登記簿上の面積)の場合測量費用は不要
実測売買は測量会社によって料金が違いますが、土地家屋調査士会による以下の平均価格 をご参照ください。
一般的な住宅地300㎡ 平均401,000円
商業ビル建設予定地600㎡ 平均508,000円
分譲用マンション用地1500㎡ 平均674,000円
売買契約者にかかる印紙税 
※2022年3月31日までの間に作成された売買契約書に対しての軽減措置が取られた金額です。
10万円超50万円以下 200円
50万円超100万円以下 500円
100万円超500万円以下 1000円
500万円超1,000万円以下 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 10,000円
5,000万円超1億円以下 30,000円
1億円超5億円以下 60,000円
司法書士への報酬※ 約33,000円~約55,000円
抵当権の解除費用※
(ローンの残債がある場合)
約12,000円~約17,000円
その他にかかる費用 クリーニング代、解体する場合は解体費用等

※司法書士への報酬、抵当権の解除費用は司法書士へ支払う費用で、日本司法書士連合会の報酬アンケートを基に作成しています。

物件を解体してから売却する際は解体費用、クリーニングを業者に依頼する際はクリーニング代がかかります。

2-1.解体として売却する際は、時期により固定資産税が余計にかかる

解体して更地として売却する予定の方は、解体の時期に注意が必要です。

固定資産税は1月1日時点の土地や建物に対して課されますので、例えば2020年1月1日に建物が建っている状態で、2月に建物を取り壊した場合では2020年中残りの11ヶ月分も建物に対する固定資産税を納めなくてはいけません。

余計な固定資産税を払わなくても済むよう、解体は可能な限り1月1日以前に行いましょう。

2-2.不動産会社の仲介手数料について

不動産会社へ支払う仲介手数料は、宅地建物取引業法により上限額が定められています。

法令で定められているのはあくまでも上限額であって、上限額が請求されるというわけではありません。ただし上限額を超えた仲介料を請求する不動産会社は法令違反となりますので、仲介の依頼は避けた方が良いでしょう。

3.民泊物件を売却する際に課される譲渡所得税

続いては民泊物件を売却した際に課される税金についてお伝えします。

土地や建物を売却して利益が出た場合は「譲渡所得税」という税金が課されます。

譲渡所得税の計算式:収入金額-(取得費用+譲渡費用)+特別控除額=譲渡所得

取得費用は家や土地の購入代金や不動産会社への仲介手数料等で、譲渡費用は譲渡する際の仲介手数料や測量費、司法書士への報酬等、売却に要した費用です。

特別控除額は物件が居住用物件(マイホーム)の際に発生し、マイホームを改修して民泊にした場合で一定の条件を満たせば控除できるケースがあります。

上記の式で算出された「譲渡所得」に所有期間の長さによって一定の税率をかけて計算します。

土地や建物を売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、税率は以下の通りになります。

  • 長期譲渡所得:所得税15%・住民税5%
  • 短期譲渡所得:所得税30%・住民税9%

(*国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」を参照)

建物の所有期間が5年以下の場合には短期譲渡所得、5年超の場合には長期譲渡所得が適用されます。2037年までは上記所得税に復興特別所得税が加算されるため、短期譲渡所得は所得税と住民税を足して39.63%、長期譲渡所得は20.315%の税金が課されます。

まずは物件の取得費や譲渡にかかる費用、所有期間を確認しおおよその譲渡所得税を試算しておきましょう。

4.民泊物件を売却する上での注意点

最後に民泊物件を売却する上で注意しておくべき事に付いてお伝えします。

  1. 不動産会社の選び方
  2. 居住用物件の一部を民泊として提供していた場合

2点の注意点についてそれぞれ見ていきましょう。

4-1.不動産会社の選び方

物件を売却する上で大事なポイントの1つは不動産会社選びです。不動産会社にはそれぞれ売買物件の得意分野と不得意分野がありますので、民泊物件の売却に得意な不動産会社を選ぶとスムーズに高値で売却が出来る可能性が高くなります。

不動産会社のホームページの売買取引の実績で、民泊物件が多い会社を選ぶと良いでしょう。また複数の不動産会社に査定を依頼し、査定結果を比較・検討する事も重要となります。

複数の不動産会社に売却を依頼するのであれば、不動産一括査定サイトの利用を検討してみましょう。不動産一括査定サイトでは、通常の不動産だけでなく民泊物件の査定を依頼することも可能です。

不動産一括査定で民泊物件の売却を依頼するのであれば、投資用不動産の売却実績が豊富な「リガイド」や提携企業数が1600社以上の「イエウール」などの不動産一括査定サイトが活用できます。

4-2.居住用物件の一部を民泊として提供していた場合

居住用物件の一部を民泊として貸し出していた場合は、民泊として提供していた部屋・敷地の床面積と居住用部分の床面積を必ず調べるようにしましょう。

居住用の家を売却する際には3000万円の特別控除等の税制優遇措置がありますが、特例を受ける事が出来るのは居住用に使っていた部分に限られ、床面積の90%以上を居住用として使用していた場合に特例を受けることができます。

まとめ

民泊物件の売却にかかる費用や税金についてまとめると以下の通りになります。

  • 売却前には物件の収益性や災害リスク等のチェックポイントを確認する
  • 売却にかかる費用は仲介手数料・測量費用・印紙税や司法書士への報酬等
  • 売却益が出た場合、譲渡所得税が課され所有年数により税率が異なる
  • 売却の際は民泊物件に強い不動産会社を選ぶ
  • 居住用物件の一部を民泊として貸し出し売りに出す場合、床面積90%以上が居住用の際は3000万円の特別控除が適用される

この記事を参考にスムーズに民泊物件の売却を進めていきましょう。

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