京都市改正条例に向けたAirbnbの取り組み「調和のとれたサステナブルな民泊運営を」

京都市

京都市では、旅館業(簡易宿所営業)の適正な運営を確保するため、住宅宿泊事業法の施行日である2018年6月15日に「京都市旅館業法の施行及び旅館業の適正な運営を確保するための措置に関する条例」が施行されました。

この条例により、京町家を除く簡易宿所営業の施設のうち「客室数は1室」「施設のすべてを宿泊者の利用に供するもの」「1回の宿泊は9人以下で構成される1組に限定」している小規模宿泊施設で、施設内に玄関帳場を設けることができないときには、必要な構造設備を設け、変更届を提出することにより、施設までおおむね10分以内(800メートル以内)に到着できる場所に玄関帳場を設置することができるようになっています(施設外玄関帳場)。

そして、施設外玄関帳場を設ける場合、また、認定を受けた京町家で玄関帳場を設けていない場合には、緊急対応をする担当者のほかに宿泊者の出入り確認等を行う別の担当者1名を常駐させることなどが必要となっています。

この条例の適用については、2020年3月末まで経過措置を設けており、2020年4月以降は条例に基づいて運営する必要があることから、京都市は該当する事業者を中心に、条例への対応を求めてきました。

こうした状況をふまえ、世界最大手の民泊仲介プラットフォームであるAirbnbの日本法人であるAirbnb Japan 株式会社は、京都市内のAirbnbホストに対し、適正な民泊運営の継続を支援するため、いち早く条例に対処するよう呼びかけてきました。今回、MINPAKU.Biz編集部は、京都市の条例の概要やAirbnbホストに対するAirbnbの取り組みについて、Airbnb Japan 株式会社 公共政策本部上席渉外担当の大屋智浩氏に伺ってきました。特に京都市で旅館業、住宅宿泊事業を営む皆様はご一読ください。

京都市の条例の概要について

Q:京都市の条例の概要について教えてください。

まず、旅館業は、宿泊施設内に受付があり、スタッフがおり、スタッフがゲストに対応することを前提としています。しかし、インターネットで宿泊施設を「貸す」人と「借りる」人をマッチングする業態が生まれ、訪日客が増加するなか、京都市はいかに現状にあわせて適切に宿泊施設を運営してもらえるかを考慮し、条例を改正しました。そして2020年4月1日からは、2018年6月14日までに旅館業法の許可を取得した既存施設についても改正条例に適合することが求められます。

改正条例では宿泊施設内にスタッフを24時間常駐することが義務付けられたため、その対応が難しい事業者も出てきました。そこで、常駐が難しい場合には施設の近くにフロント(玄関帳場)を設置することを認める規定が設けられ(施設外玄関帳場)、ここでチェックイン・チェックアウトの対応をすればよいことになりました。具体的に「施設外玄関帳場に人がいること」と「10分以内・800メートル以内の駆け付け要件」の2つを守ることが求められます。つまり、既存のホテル・旅館のように宿泊者が連絡すれば係員がすぐに対応できる体制を施設内に常駐していない場合にも整えるよう求める内容です。

なお、京都市に認定を受けている町家に関しては、施設外玄関帳場を設置する必要はありません。しかし、チェックインはその場で実施し、10分以内・800メートルの駆け付け要件は守る必要があります。

こうした背景もあり、改正条例は「施設の用途が宿泊者利用のみ」で「客室数が1室」で「1回の宿泊の受け入れを1組9名以下に限定」している小規模宿泊施設に対して適用されます。従来型の旅館やホテル、また、ゲストハウスのうち、複数の部屋を備え、10人~20人が宿泊できるタイプの宿泊施設などには影響ありません。

京都市改正条例に向けたAirbnbの取り組み

Q:改正条例に伴い、どのような取り組みを実施されましたか。

条例の経過措置の間にどのように対応すればスムーズに条例に対応できるかを京都市と議論し、2019年8月からAirbnbホストの皆様に対し、条例に関するコミュニケーションをとりはじめました。まずは条例について知っているかどうか、大変だと思う点は何かをヒアリングしました。

すると、Airbnbホストの皆様はすでに住宅宿泊事業法下での登録や旅館業の許認可を取得されていることもあり、96%の方が条例についてご存じでした。ただ、具体的にどのように対応すればよいかわからない方や、施設外玄関帳場の業務を代行業者に依頼したいもののみつからない方などがおり、Airbnbホストと、行政書士や施設外玄関帳場の運営代行業者などとのマッチングニーズがあることがわかりました。また条例について正しく理解されていない方もいたことから、9月に計4回、勉強会を実施し、約100名にご参加いただきました。

勉強会では、まず、京都市の担当者から制度の概要についてご説明いただき、続いて、届出をスムーズにするために行政書士の先生の協力が必要なので、地元で実績のある行政書士の先生にも来ていただき、ビジネス目線で対応すべき点を類型ごとにご説明いただきました。さらに、施設外玄関帳場の対応が可能な地元事業者や、行政書士の先生による相談会も実施するなどしました。

そして、10月にはあらためて必要な対応を実施するよう告知しました。その後、京都市と議論を重ねるなか、12月から、運営中の宿泊施設が改正条例への対応が必要かどうかを照会する新制度が設けられました。具体的には、運営中の宿泊施設を照会すると、「改正条例への対応が必要」「対応済み」「施設内に玄関帳場(フロント)がありスタッフも常駐していて、そもそも対応不要」の3パターンがわかる仕組みです。

Airbnbはホストに対してこの照会制度の利用を求めているほか、宿泊仲介業者としてホストの代わりにまとめて照会することが認められているため、申し出のあったホストの施設をまとめて照会しています。その照会に対する回答を京都市からいただき、対応が必要なホストには必要と回答しつつ、1月7日までに条例への対応を実施できていない場合には、必要な対応が終わるまでカレンダーをブロックすることを通知しました。

【ウェブサイト】京都市簡易宿所営業の施設に係る条例適用状況に関する照会実施要綱

Q:勉強会、説明会の実施後、ホストの皆様に対して実施された対応についてお聞かせください。

定員や間取りなどについても変更届を出さなければならなくなるため、ホストの皆様には、行政書士の先生を通じて、対応や届出の方法について指示していただきました。また、改正条例に関する京都市のお問合せ窓口を通知しました。

Q:1月7日のカレンダーブロック後の対応について教えてください。

年末年始にかけ、京都ホームシェアリングクラブという地元コミュニティが主催する、玄関帳場の提供に関するマッチングを促進するミートアップをホストの皆様に対して周知しました。そして、カレンダーブロック後も改正条例への準備・対応を求めていきます。

4月は桜のピークシーズンでもありますし、4月1日を迎えたときに改正条例に対応していない宿泊施設が予約を受け付けることができず、活動できないホストが生じてしまう事態を避けたいと思っています。また、ゲストが宿泊予約を直前でキャンセルされてしまい、物件に行っても泊まることができない経験をすることによって、ゲストの京都での体験がよくない印象になるだけでなく、日本への旅行やAirbnbの利用をリピートしなくなってしまうことも望ましくありません。京都市もそれについては同様に考えており、それを避けるためにとれるべき行動をとっている段階です。

Airbnbとしては、きちんとした手続きに則って制定された京都市の条例にしたがったホストの皆様の活動を支援していくとともに、京都にお住まいの皆様が、観光客が訪れても、日々の生活が脅かされることがない状態を持続しないことには永続的な発展は見込めないと考えておりますので、そうならないよう、引き続き対応を行ってまいります。

編集後記

Airbnb Japanはこのように2020年4月1日に向けて京都市への条例の対応をホストの継続的な運用のために続けてきました。

京都市の条例は厳しすぎるというホストの声がある一方で、騒音やゴミなどに関して周辺住民からの苦情が噴出した状況に厳しく対処せざるを得ない行政の対応に賛同する声もあります。また、Airbnbは、あくまでも地域の意思決定を尊重し、Airbnbホストが遵法で、無理なくサステナブルに運営を継続できるよう支援する姿勢で各種の取り組みを実施しています。

早々にAirbnbホストに対し、条例への対応を支援することで、さらに安心して使えるプラットフォームを目指すAirbnb Japanの取り組みにより、京都に住む人々との調和がとれた民泊運営の継続につながることが望まれます。

京都市条例に関するお問合せ窓口

京都市改正条例等や、変更届の様式に関しては以下のリンク先のページをご確認ください。

【ウェブサイト】京都市内で旅館業を営業されている皆様へ
【ウェブサイト】京都市:旅館業法関係手続

また、変更届の提出については、以下のリンク先のページを確認のうえ、医療衛生センター旅館業審査担当にご相談ください。

【ウェブサイト】施設外玄関帳場の設置,京町家への変更,京町家における使用人等の駐在場所の変更に関する手続について

条例適用状況の照会制度について

京都市では、各施設の条例適用状況について、照会制度を設けています。旅館業(簡易宿所営業)施設の営業者、管理者は、必要に応じてご利用ください。

【ウェブサイト】旅館業(簡易宿所営業)施設における条例適用状況に関する照会制度について

施設外玄関帳場代行サービス

京都市の「駆け付け要件」条例への対応を支援する施設外玄関帳場代行サービスも展開されています。対応にお困りの事業者の皆様は以下のサービスの利用も検討してみてください。

【関連ページ】京都市「駆け付け要件」条例への対応を支援する施設外玄関帳場代行サービス「なびすけ」開始

Airbnb(エアビーアンドビー)の特徴

Airbnb(エアビーアンドビー)は言わずと知れたバケーションレンタルサービス世界最大手のサービスです。2008年にアメリカのサンフランシスコでスタートしたサービスで、2019年11月時点で世界10万の都市に700万以上、日本では約9万のリスティングが掲載されています。また、同社が提供する「体験」サービスは、世界1,000以上の都市で40,000以上、日本では約2,000のアクティビティが提供されています。日本法人のAirbnb Japanは2014年5月に東京に設立されました。

Airbnb設立以来、2019年11月時点でAirbnbのホストが得た収益は約8兆8,000億円を超え、Airbnbを通じてゲストがチェックインした回数は5億回を突破しました。また、Airbnbを日本で利用したゲストの93%が海外ユーザー、うちアジアのユーザーは54%と、訪日外国人の宿泊手段として多大な実績があります。ホスト保証で最大1億円の補償もついており、ホストは安心して物件を貸し出すことができます。

【関連ページ】Airbnbのホストになる!Airbnbに登録する方法
【関連ページ】Airbnb(エアビーアンドビー)

(MINPAKU.Biz編集部)

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