Airbnbの成長はホテルの価格や稼働率に影響しない!?STR調査

一般的な認識やホテル業界の懸念とは裏腹に、Airbnbのグローバルにおける急成長が、ホテルの稼働率や宿泊単価に対して必ずしも大きな影響を及ぼしているとは限らない。そんな興味深い調査結果が明らかになった。

ホテル業界に特化した調査会社のSTRが公表した報告書によると、世界の主要13都市における、2016年7月までの12カ月間のAirbnbの一泊あたりの平均宿泊料金は約158米ドルとホテルの客室料金より約20米ドルも安かったにも関わらず、同期間のAirbnbの稼働率は約46%で、ホテルの78%よりも大きく低いことが分かった。

また、STRのデータによれば、Airbnbのビジネス目的による利用は全体のわずか10%にとどまっており、Airbnbの稼働のピークは週末となっているのに対して、ビジネス客の多いホテルのピークは週半ばとなっているため、2つの宿泊施設の利用価値が異なる市場に対応していることを示しているという。

その結果、米国の主要7都市ではホテル利用率が95%を超えると言われる「繁忙期」の利用者数は、Airbnbの急激な成長にもかかわらず2014年から2016年の間でほとんど変化しておらず、ホテル側はこの繁忙期に宿泊料金も35%値上げしており、2015年と同様の価格プレミアムを維持できていたとのことだ。

このデータは、繁忙期にホテルが価格を上げ過ぎると利用客がAirbnbへと流れるため、ホテルはかつてより宿泊単価が上げづらくなっているという仮説が間違っていることを示している。

STR報告書の作成者らは、「Airbnbは旅行業界において大きな力を持っていることは明らかだ。」としたうえで、 「供給数の拡大やマクロ経済の逆風、破壊的な技術と宿泊業への新たな参入など多くの要因はあり、それらが因果関係の把握を難しくしているが、Airbnbがホテルの需要に与える直接的な影響はほとんどない。」と述べている。

なお今回のSTRの調査は、ボストン、ロサンゼルス、マイアミ、ニューオーリンズ、サンフランシスコ、シアトル、ワシントン、バルセロナ、ロンドン、メキシコシティ、パリ、シドニー、東京の13都市における2016年7月までの32か月間に及ぶデータを元に調査したもので、Airbnbは報告書作成のための資金提供は行っていない。

今回の調査の結果、STRは近年のAirbnbの急激なホスト供給とゲスト需要の伸びにもかかわらずAirbnbがホテル需要に与える影響は決定的ではないとしており、その原因としてAirbnbの物件はシェア用の家や部屋、または7名以上の人々が収容できる物件などホテル市場とは異なる部屋の提供をしており、異なる市場に対応している点を挙げている。

なお、今回調査対象となった13都市のうちAirbnbのリスティング数の成長率が最も低かったのはバルセロナ(13%)とサンフランシスコ(32%)だった。それらと比較して、メキシコシティではリスティング数は倍増し、東京では3倍以上に増加している。また、これら13都市の市場のうちパリ、東京、サンフランシスコの3都市だけは供給側の成長率が需要側の成長率を上回っていた。

2016年に入ってから、東京ではAirbnbホスト数の急激な増加により競争が激化し、稼働率が低下しているという話を聞く機会が多くなったが、今回のデータからもその実態が裏付けされた形だ。

一方で、日本では特に関西圏を中心にAirbnbの増加により稼働率が下がっているというホテル業界からの悲鳴を聞くことが多いが、グローバル全体の傾向としては、Airbnbの成長は必ずしもホテル業界のパイを奪っているとは言い切れない、という結論となった。

日本ではホテル・旅館業界から民泊への反発も根強いものの、仮にSTRが示した傾向が日本にも当てはまるとすれば、民泊推進派にとってはホテル・旅館との共存共栄を目指すための一つの好材料となるかもしれない。

【参照ページ】Airbnb & Hotel Performance An analysis of proprietary data in 13 global markets

(MINPAKU.Bizニュース編集部 佐々木 久枝)