Airbnbが中国で苦戦している4つの理由

2008年に米国サンフランシスコでスタートし、今では世界190ヶ国、34,000都市以上で利用されるようになった世界最大の民泊仲介サービス、Airbnb。設立後たったの7年間で未上場企業ながら既に時価総額約3兆円の企業にまで成長したAirbnbだが、同社が苦戦している巨大市場が一つある。それが、中国だ。

一方で、Airbnbと並んでシェアリングエコノミーの代表格となるユニコーン企業として紹介されることが多い配車アプリのUberは、中国国内で「滴滴」と経営統合し、順調に業績を伸ばしている。なぜ、AirbnbはUberとは異なり中国市場で依然として苦戦しているのだろうか。中国の検索最大手、百度が提供するニュースサイトの百度百家は、「中国有“Uber”,为何没有Airbnb?」と題して、その原因を分析している。

百度百家の分析によると、Airbnbが中国市場で上手くいかない理由は、Airbnbの経営手腕というよりも中国の生活文化的な側面に拠るところが大きいようだ。実際に、2011年にサービスを開始したAirbnbのクローンとして知られる中国の爱日租(Airizu)も、2000万米ドルの初期投資を回収不能と判断し、2013年7月に中国での事業撤退を余儀なくされている。

中国国内では、Airbnbのような民泊サイトが成功するのは難しいのだろうか?百度百家は中国ならではの難しい問題として「根強い人間不信」「伝統の問題」「大量の格安ホテル」「上昇する不動産金利」という4つの特殊事情を挙げている。

まず、一つ目の「根強い人間不信」についてだが、中国ではホストとゲストとの間に基本的な信頼関係がないのが実態で、空き部屋をゲストに提供しようと思う人も少なく、他人の部屋に泊まる習慣もないという。

ある民泊関連の調査結果によると、民泊として貸し出すことで通常の賃貸よりも3倍多い収入が得られるにも関わらず、ほとんどのホストが民泊施設として貸し出すことを拒否したとのことだ。誰が泊まっているかが把握できず、盗難や損害を恐れているためだ。また、ゲスト向けの調査でも、ホテルや知人宅に泊まるというケースが大半で、他人の家に泊まるという発想自体がほぼなかったという。

加えて、欧米であればフェイスブックなどのSNSを介してホストとゲストの信頼関係を構築することも可能だが、中国の場合はこうした実名制のSNSもないため、他人同士が信頼を獲得する効果的な手段がない点も起因しているという。

2つ目の「伝統の問題」とは、中国には台湾や日本、米国などとは異なり、民泊するという伝統そのものがないという難しさを指している。中国には田舎生活を体験するツアーなどを除いて他人の家に宿泊するという習慣はほぼなく、また一軒家が少ないこともマイナス要因となっているという。

そして3つ目の「大量の格安ホテル」だが、欧米などでは通常安いホテルは街の中心から離れた郊外に集中しているため、ホテルと比較してコストパフォーマンスが高いAirbnbは魅力的に映るが、中国の場合はAirbnbと比較しても価格競争力がある格安ホテルが街の中心部でもいたるところにあるため、民泊の必要性をなかなか感じにくい、という点が挙げられている。

4つ目の「上昇する不動産金利」は、ホストの視点から見たポイントだ。北京や上海、広州の不動産金利は非常に高く、不動産オーナーは基本的にお金に困っていないという。そのため、Airbnbで物件を運用する場合はゲストからのリクエストなどに細かく対応する必要があるが、中国の富裕層はこうしたやり取りを面倒くさく感じてしまうのだという。

これら4つの理由により、Airbnbは中国市場において苦戦を強いられているとのことだ。もちろん、中国人がAirbnbを使用していないわけではない。海外旅行に行く中国人観光客の中にはAirbnbを利用している人も多い。しかし、こと中国国内に限ってみれば上記のような多くの壁があり、民泊というスタイルが浸透するまでにはまだまだ険しい道のりが待っているようだ。

【参照記事】中国有“Uber”,为何没有Airbnb?

(MINPAKU.Biz ニュース編集部 華原)